2017年12月08日
会社内で発掘・創作した発明について、特許出願で保護を目指す場合
あるいは、特許出願を行わずに「営業秘密」で保護を目指す場合につい
て2回にわたって説明しました。
特許出願を行わずに「営業秘密」で保護を図ろうとする場合には、そ
もそも保護を受け得る「営業秘密」足り得るのかというところから立証
する必要があります。この点で、国(特許庁)が審査を行って付与され
る独占排他権たる特許権で保護を受ける方が安全で、効果的です。
しかし、出願料、審査請求料、等、特許出願から特許権取得までの費
用のトータルは決して安いものではありません。
特許庁は、特許出願・特許取得が企業の収益確保の重要な手段になっ
ていることに鑑み、すべての中小企業を対象にして、特許の審査や維持
に要する料金を現状の半分程度にする法律改正を2019年度をめど
に実施する考えを示しています。審査請求料(基本料:118,000
円+請求項の数×4,000円)と、毎年の特許権を維持するための特
許料の1~9年目までをトータルすると現状では40万円程度を要す
るところを半分程度に抑え、また、このような軽減の適用を受けるため
の手続も簡素化するとされています(特許庁 第23回特許制度小委員
会 平成29年11月27日)。
そこで、今回は、国や地方公共団体などが行っている特許出願などに
対する費用助成のいくつかを紹介します。
なお、各団体などによって仕組みが相違しています。また、平成29
年度の助成事業はすでに終了していて、次回は、平成30年度の助成事
業になるところが多くあります。詳しくは、下記でご紹介するところで
確認するようにしてください。
また、下記には紹介されていなくても、各企業が所在している地域の
地方自治体などで特許出願などに対する独自の助成制度が設けられて
いることがあります。必要があれば各地方自治体の窓口にお問い合わせ
ください。
■外国出願に要する費用の半額補助■
(平成29年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業等
外国出願支援事業))
特許庁では、中小企業の戦略的な外国出願を促進するため、外国へ
の事業展開等を計画している中小企業等に対して、外国出願にかかる費
用の半額を助成しています。 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェト
ロ)と各都道府県等中小企業支援センター等が窓口となり、全国の中小
企業が支援を受けることができます。地域団体商標の外国出願について
は商工会議所、商工会、NPO法人等も応募できます。また、意匠にお
いては、「ハーグ協定に基づく意匠の国際出願」も支援対象です。
下記の特許庁HPに全国各地域の実施機関等のリンクが貼られてい
ますのでご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm
大阪府は大阪産業振興機構のHPをご参照ください。
http://www.mydome.jp/
前記は各企業が所在している地域の公的機関を介した助成になりま
すが、(独)日本貿易振興機構(JETRO)も、日本全国の中小企業
を対象として、同様の外国出願に要する費用の半額補助を行っています。
https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_appli.html
■日本国特許出願への助成、等■
(中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした審査請求料・特許料
の軽減措置)
産業競争力強化法に基づく特許料等の軽減措置により、国内出願を行
う場合には「審査請求料」と「特許料」、国際出願(日本語でされたも
のに限る)を行う場合には「調査手数料・送付手数料・予備審査手数
料」の軽減措置が受けられます。
この軽減措置は平成26年4月から平成30年3月までに特許の審
査請求又は国際出願を行う場合が対象になります。
なお、特許料の軽減に関しては、平成26年4月から平成30年3月
までに特許の審査請求を行った案件が対象になります。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen.htm
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/sokushinkouhu.htm
■日本弁理士会による特許出願等援助制度■
新規事業の創出等、何らかの形で社会に貢献する可能性が高く、大き
な効果が期待される発明等であって、まだ特許出願されていないものを
対象として弁理士費用の全部または一部を日本弁理士会が負担する援
助制度。
http://www.jpaa.or.jp/activity/support/assistance/