知財経営とは

知財経営の概要

知財経営とは、知的財産を源泉として企業の競争力を高める経営をいいます。知財経営では、経営戦略を頂点として、研究開発戦略や事業戦略とリンクさせながら知財戦略を構築・実践していきます。知的財産は権利取得することが目的ではなく、それらを使用して企業の競争力を高めることが重要です。
つまり、企業の競争力を高めることを目的とし、その目的達成の手段として知的財産があるのです。このことを念頭において知財経営を進めていけば企業の競争力を高めることが可能になります。

なぜ知財経営が必要か

なぜ知財経営が必要か

従来、知的財産と言えば、特許や商標を出願して権利を取得するだけで止まっている場合が多いものでした。それも戦略的に知的財産を構築するというよりも、場当たり的に出願することもあり、またせっかく権利化しても有効に活用できていない場合が多いです。確かに、高度経済成長以降、製品を市場に出せばそれなり売れていた時代もありました。
しかしながら、今では多くの製品市場において成熟期を迎え、販売価格も下がり、コスト削減も極限まで達している状況の中、利益を出すことが非常に難しくなっています。しかも、中国をはじめとするアジア諸国の台頭により、ますますコスト面や品質面でも追い上げられ、厳しい競争に突入しています。このため知財インフラを十分に整備した上で、効率的に知的財産を創造して、権利化していき、それを上手に活用することによって、企業の競争力を向上させる「知財経営」が注目されています。いちはやく「知財経営」を導入した企業から新たなステージに成長していくことになるでしょう。

知財経営のメニュー

知財経営の重要性が認識されながらも、多くの企業(特に中小企業や中堅企業)では知財経営が十分に導入されていないのが現状です。この原因には、従来は知財経営の内容が具体的に提示されておらず、本格導入するとなるとスケールが大きく感じられていたことが挙げられます。確かに知財経営を本格導入すると費用も時間もかかる場合もありますが、最初から全てを実行する必要もありません。会社の規模やニーズに応じて必要な項目から実践していき、時間をかけて自社オリジナルの知財経営を構築していくことが重要です。
当社では、知財経営に必要な項目をメニュー化して、企業様にとって必要な知財メニューから知財経営を徐々に実践して頂けるようにしております。

知財経営のコスト

知財経営のコスト

知財経営を推進するに際して、コンサルティング費用、特許出願費用、交渉費用などコストが発生します。企業が経営する際にコスト以上の利益が出なければ意味が全くありません。ここで知財経営を導入した場合のコストについて考えていきます。

例えば、知財経営を導入していないA社と、知財経営を導入しているB社とを比較した例があります(「中小・ベンチャー企業知的財産マニュアル 特許庁編」より一部抜粋)。
A社は知財経営を導入していないため、知財関連コストは出願コスト200万円のみです。しかし、十分な知財ポートフォリオを構築していないため、マーケットをコントロールできておらず、競合企業数が10社も存在します。このために平均売上高および利益率が低いものとなり、利益額は1,000万円です。よって利益額から知財関連コストを差し引いた額は800万円となります。

一方、B社は知財経営を導入しているため、知財関連コストは知財経営コスト500万円+出願コスト700万円の合計1200万円です。しかし、知財ポートフォリオの構築によってマーケットをコントロールできており、競合企業数が3社に止まっています。このため平均売上高および利益率が高いものとなり、利益額は6,700万円です。よって利益額から知財関連コストを差し引いた額は5,500万円となります。

このように知財経営を導入していないA社と導入しているB社との間には、最終的に4,700万円の利益の差が生じています。これは知財経営を導入したときの一例ですが、知財経営を上手に導入すれば、コストやクオリティ(品質)のコントロールのほかに、マーケットをコントロールすることができ、企業の競争力を高めることが可能になります。

20億円の某製品市場の年間比較例

会社名

競合
企業数

売上高

利益率

利益額

知財経営
コスト

出願コスト

利益額
– 知財関連

A社
(知財経営
未導入)

10社

2億円

5%

1,000万円

0円

200万円

800万円

B社
(知財経営
導入)

3社

6.7億円

10%

6,700万円

500万円

700万円

5,500万円

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